ブロックチェーンが創る未来社会に置けるインフルエンサーの再定義 (後編)
目次
- オクリビットの考案するProof of Reputationコンセンサスアルゴリズム
- 他人を評価するために自分の評判をリスクにかける必要がある
- 他人から貰った評価は自分のためには使えず、自分が支持する他人にシェアしなければならない
オクリビットの考案するProof of Reputationコンセンサスアルゴリズム
前編に続く後編です。
今回はオクリビットの考案したProof of Reputationの仕組みについて解説します。
詳しい計算方法はインフルエンサンーランキングのブログ記事、またはオクリビット・ヘルプページを参照下さい。
ブロックチェーンの合意形成アルゴリズムを考える際に最も重要なのは、その仕組みが悪意あるパーティに乗っ取られずに永続的に動き続けることです。ビットコインを動かすプルーフオブワークは51%攻撃と呼ばれるように、簡単に言うと世界中の51%のビットコインシステム可動コンピュータを乗っ取らなければ破れない仕組みになっていて、そんなことは現実的に不可能なので、始動からこれまでシステムが停止するほどのハッキング被害に合わずに稼働してこれたわけです。
人が人のレピュテーションを評価する仕組みは、この悪意あるパーティに乗っ取られない仕組みを作るハードルが上がります。大量のボットが人のふりをして入り込んできた時や、大多数の人がグループを形成して組織的にシステムを不正操作しようとしてもできない仕組みが必要です。なおかつその評判査定自体が理にかなった透明性の高い公正なものである必要があります。
シンプルでわかりやすい仕組みでは、簡単に破られてしまいます。複雑過ぎる仕組みではもはや何を基準に評判を査定しているのかわからなくなります。
オクリビットはツイッターというSNSの仕組みとそこに形成された日本語仮想通貨コミュニティの在り方をみたときに、その上に実装できるであろうかなり高精度なレピュテーション評価システムを考えつきました。そしてその仕組みを発展・拡大していくことによって、将来的に様々なコミュニティ・組織に適用できる汎用的なモデルが作れるのではないかと考えました。
オクリビットの考えるレピュテーション評価システムには二重の心理的セキュリティが敷かれています。それが、人間が不正にシステムを操作することを防止しつつ同時に大量のボットによる攻撃も防ぐことができる仕組みであると考えます。なおかつ仕組みがわかりやすく、評価されている人がなぜ自分がその評価なのかを簡単に理解できる仕組みです。
その2つのセキュリティとは、
の2つです。レピュテーション評価システムにこの2つの要素が入っていることによって、かなりの安全性と公正な評価基準を兼ね備えた仕組みができると考えます。その仕組みを実装可能にしているのがツイッターであり、オクリビットインフルエンサーランキングです。
以下に実例を出して2つの要素を簡単に解説します。
他人を評価するために自分の評判をリスクにかける必要がある
これは他人を評価するのに対価を払わなければならないと言う意味ではありません。他人に正当な評価をしなければ自分の評価が落ちる仕組みです。
例えばツイッターには『ツイート』する以外に、『いいね』という機能と『リツイート』という機能があります。この中で『ツイート』と『リツイート』という行為は自分のタイムラインにその情報を流して自分のフォロワーに情報をシェアする行為です。『いいね』という機能は単に自分の好意を投稿者に伝えるために使われている側面が多い気がします。
ここで重要な点は、『いいね』という機能をいくら乱用したところで自分の評判にはあまり関係してこないということです。『いいね』は相手に好意を伝える機能なので、実際に投稿されたコンテンツの評価に関係なくとりあえず押しまくることで自分の立ち位置を上げることができます。『いいね』を押されて悪い気分になる人はあまりいないでしょう。
一方で『ツイート』、『リツイート』という機能は自分のタイムラインでフォロワーに情報を拡散することになります。この機能は『いいね』のように乱用できません。なぜならあなたの『ツイート』、『リツイート』はあなたのフォロワー全員に監視されており、質の低い情報を大量に流しつづけるアカウントはフォローを失う、または評判を下げることになるからです。これが他人を評価するのに自分の評判をリスクにかけるということです。自分の評判をかけてでもシェアしてよい情報、評価してよい他人の情報を『ツイート』したり『リツイート』したりしているわけです。ここに第一の心理的障壁がセキュリティの壁となって存在します。
この仕組みはツイッタータイムラインで最も効率的に稼働しており、フェイスブックにもいいねとシェア機能はありますが、実名でクローズドなコミュニティにの情報シェア機能には、自分の評判をリスクにかけるということに対してツイッターほどのインパクトはないように思われます。質の悪い情報をシェアしたところでリアルな友達関係が簡単に崩れるわけではなく不特定大多数にも監視されていないからです。つながりの薄いオープンなツイッターであるからこそ、些細な行為で一気に評判を落とします。リスクがより大きいわけです。
国産のコンテンツ評価プラットフォームALISのいいね機能はどうでしょうか?報酬を貰えるので良い記事を探していいねを押すと思いますが、一定間隔を空けなくてはならないという時間的制約があるにせよ、その行為によって自分の評判が下がる仕組みがなければ報酬欲しさにシステムをゲーミングするだけで、本当に正当な評価をしあう仕組みの構築は難しいのではないでしょうか。
ツイッターのタイムラインように他人評価が自分の評判形成の一部になる仕組みが、あれほど大規模で稼働している状況というのは非常に稀有なのかもしれません。しかし、この仕組みは永続可能なレピュテーションシステムに不可欠であると考えます。
オクリビットの評価システムでは、単なるいいねの行為を評価の対象に含みません。リツイートと重複する場合が多いこと、上記したように自分の評判がリスクにかからないので乱用可能であるからです。オクリビットが評価しているのは本人以外の重複しないツイートとリツイートの数です。
他人から貰った評価は自分のためには使えず、自分が支持する他人にシェアしなければならない
これが第二の心理的障壁かつセキュリティの壁です。オクリビットではツイッターでシェアされたブログ記事の拡散度をデイリーブログランキングとして、また他人の記事をシェア・拡散した人をエバンジェリストランキングとして数値評価し、そこからブロガー時価、キュレーター時価を割り出しています。ブログを書いて情報を発信する行為と、それをシェア・拡散する行為をコミュニティへの貢献度として数値化しているわけです。その貢献度を測る数字は上記した自分の評判をリスクにかけるツイート・リツイートという行為から成り立ちます。
これによってブロガーさん本人と情報をシェアしたキュレーターさんがその貢献度を時価として獲得するわけです。本来、単純にこの貢献度をレピュテーションとしてコミュニティメンバーを格付けすることもできますが、安全性の高い永続可能な評価システムはもう一段階のセキュリティを必要とします。そしてその仕組みが、同時にレピュテーション評価の精度も上げるような美しいやり方が存在します。
それが、自分がコミュニティに貢献することによって獲得したポイントを自分で使うことはできず、自分が支持する他人に分け与えて使ってもらわなくてはならないという仕組みです。もちろんそれを直接的に選択できる機能があればよいのですが、ツイッターで代用する場合、自分がフォローしている人が自分が支持している人に近いという事実を利用できることに気がつきました。
要するに、ブログ投稿や情報シェアで獲得した時価を自分のフォローしているアカウントに均等に分け与えるという仕組みです。例えば自分が獲得した時価が100でフォローしている人(されている人ではない)が10人であれば、この10人に配当として時価を10ずつ分け与えるということです。これによって、コミュニティ貢献度が高い人に支持されていればいるほど、自分の評判が上がる仕組みになりました。
これは以前の第一回、第二回ランキングで採用した、フォロワーが多い人にフォローされていればいるほどランクが上がる仕組みと比べると、かなりタイムリーで精度の高い数字の出せる計算方法です。フォロワーが多いからといってコミュニティでの貢献度や地位が高いわけでも影響力が高いわけでもなく、それがベースの計算法方では当然、質の低いランキングができあがります。そして、そのような単純なアルゴリズムは悪意を持ったパーティが簡単にのっとることができます。
実はよく考えるとこの仕組みは健全なコミュニティ形成にとって非常に美しいもので、自分がコミュニティに貢献して得た対価を他人にシェアしなければ実は自分も他人から支持されないという仕組みになっています。他人のために価値を稼ぐことで他人も自分のために価値を稼いでくれるということです。労働に対する対価が直接自分に与えられるのではなく巡り巡って他人から間接的に廻ってくるような仕組みです。自分の労働だけでは評判は稼げないのです。コミュニティに貢献しペイフォーワードで他人を支えて初めて自分の評判が上がります。
そしてその評判が未来社会に置けるインフルエンサーの影響力です。
これがオクリビットが考案する未来の人間社会に実装されるであろうProof of Reputationコンセンサスアルゴリズムの根底です。もちろんオクリビットのインフルエンサーランキングやPoRアルゴリズムには改善の余地は沢山あり、今後も進化を続けますが、この2つの概念が今後のレピュテーション査定、インフルエンサー評価の基盤になってくると勝手に妄想してプロジェクトを進めています。
前編・後編に渡り長くなりましたが、オクリビットの考える『インフルエンサー』の定義が少しでも伝われば幸いです。